父の日に思う ep.1
親父の背中 1
毎年の事だが、父の日になると思い出す。
俺は、片手で数える程しか、親父に対して父の日の感謝を込めての儀式なるものをやった事が無い。
これから父の日をしてやろうと思っても、それはもうしてやれない。
何故なら、もう親父はこの世にはいないから
俺の親父は、Shadowだった。
国と市民を護るShadow。
家族よりも、市民を優先しなければならないShadow。
己の妻よりも、息子や娘よりも、国と市民、任務を優先しなければならないShadow。
そして、我が身を顧みず市民の付託に応えなければならないShadow。
まだ、俺がガキの頃の親父は、ほとんどの時間家にいなかった。父の日のタイミングで家にいれる事はほとんど無かったと記憶している。
幹部という事もあり、転勤も多く俺たち家族も20回位は引越しをした。
俺は転校を8回した。
全ては、親父の仕事の都合で。
まだ小さな俺たち子供には、頻繁に変わる環境はタフだった。
でも俺は、その家庭環境を作った親父を恨んだりはしなかった。
俺たちは、親父の仕事、国と市民の付託に応える仕事、家をあける日に、いつまであけるか、何処に行くのかを、俺たち家族にも言えない仕事。
子供ながらに、そんな仕事という任務に就いている親父と、親父の仕事に誇りを持っていた。
ヒーローのようだった。
今では俺にも家族がいる。
妻や息子、娘
そして今日まで、俺の家族や親兄弟、仲間たちが、この国で平和に暮らしてこれたのも、今こうやってこの気持ちを書けているのも、日の目を見る事も無く影の守護神の様に、備えて護ってくれている彼らがいるからだと感じる。
俺の親父の同胞達がいる。
願わくば起こらないで欲しい。
有事の為に
国、家族、仲間、そして信念の為に
自らの人生を捧げている。
真のParabellum Ownerへ敬意を、
気持ちを込めて父親達へ送ろうと思う